書籍タイトル
ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー 2
著者
ブレイディみかこ
出版社
新潮社
発売日
2024年6月26日
この本の要約
この書籍は、著者であるブレイディみかこさんが息子の成長を通じて経験した、イギリス社会における「多様性」「貧困」「教育」の問題を記録しています。前作に続き、息子がさらに成長し、中学生としての生活が描かれるとともに、彼が感じるアイデンティティの葛藤や社会の矛盾が浮き彫りにされていきます。家族や友人との交流を通じて、息子がどのように自己を形成し、他者と向き合っていくかが丁寧に描かれています。
第1章:新しい環境での挑戦
息子が中学に進学し、新しい学校環境での生活が始まります。小学校とは異なる多様な文化背景を持つ友人たちに囲まれ、彼が適応していく過程が描かれています。息子は、さまざまな背景を持つ友人たちと接する中で、価値観の違いや人間関係の難しさを経験します。
第2章:アイデンティティの葛藤
イギリス人の父と日本人の母を持つ息子が、自分のアイデンティティについて悩み始めます。多民族の学校で育つ中で、自分がどの文化にも完全に属していないような感覚に戸惑う様子が描かれています。友人との会話や家族との対話を通して、彼が「自分らしさ」とは何かを模索していきます。
第3章:多様性の理解と受容
息子が学校の授業や日常生活で「多様性」というテーマに触れる場面が増えていきます。異なる宗教、肌の色、言語を持つ人々がいる環境で、彼は自然と他者を受け入れる心を育てていきます。ここでは、他者との違いを理解し、尊重する姿勢が身についていく過程が丁寧に描かれています。
第4章:家庭と学校のギャップ
家庭で受ける教育と、学校で感じる価値観の違いに息子が戸惑いを覚える場面です。家庭で大切にされる価値観と学校で求められる価値観が異なることに気付き、両者のバランスを取ることに苦労します。著者が親としてどのように息子を支え、アドバイスを送っているのかが印象的に描かれています。
第5章:友情と信頼
息子が友人関係を築く上で経験する様々な出来事が描かれています。友人との衝突や和解、信頼関係の築き方を学んでいく中で、彼が他者との違いを超えて絆を結ぶ力を身につけていく姿が描かれています。友人の多様な背景に触れることで、息子がより広い視野を持ち始める過程が描かれます。
第6章:成長と自己の確立
息子が次第に自分の意見や考えを持ち始め、親の助けがなくても自立して決断する場面が増えてきます。自分らしさやアイデンティティを確立しようとする中で、息子が他者の目を気にせず、自分に正直であることの重要性に気づいていきます。
第7章:未来への一歩
最終章では、息子が未来に向かって成長していく姿が描かれています。学校や家庭で学んだことを土台にし、自分の生き方を模索し始めます。彼が自分の足で立ち、未来へ一歩踏み出そうとする姿は、彼の成長の集大成として印象的に締めくくられています。
全体を通して
本書では、社会の中で自身のアイデンティティを模索する息子の姿が、今の時代を象徴するものとして描かれています。特に、多様性と共生をテーマにしている点が興味深く、異なる背景を持つ人々とどう向き合うかという問いかけが、現代社会における大きな課題であることを改めて認識させられます。親としての立場と社会的な背景から見つめる著者の視点も、深い共感と新しい発見をもたらしてくれるでしょう。
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本書の評価
評価: ★★★★☆4.5/5
レビュー
前作に続き、親子の絆とアイデンティティについて考えさせられる一冊です。息子さんの成長に心温まる場面が多く、読み終わった後も心に残ります。
社会問題が深く描かれており、大人も考えさせられる内容です。子どもと一緒に読むことで、さらに理解が深まる気がします。
多様性の中で生きることの大変さが伝わってきますが、最後まで希望を持てる内容でした。
親として共感できる部分が多く、教育のあり方についても深く考えさせられました。
読みやすくて面白いですが、テーマは深く、何度も読み返したくなる内容です。
まとめ
「ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー 2」は、多文化社会で育つ思春期の息子とその家族が向き合うリアルな日常を通じて、現代社会が抱える多様性と共生の課題を考えさせられる一冊です。息子の成長を描きながらも、読者に多くの気づきを与えてくれる内容となっており、家庭や教育の在り方についても深く考察しています。