書籍タイトル
明智恭介の奔走
著者
今村昌弘
出版社
東京創元社
発売日
2024年6月28日
この本の要約
『明智恭介の奔走』は、今村昌弘による推理短編集で、神紅大学のミステリ愛好会会長である明智恭介が主人公です。彼はミステリ小説の探偵に憧れ、名刺を配り歩きながら事件を追い求めます。明智が様々な日常の謎や不可解な事件に挑む中で、ユーモアと推理が織り交ぜられた独特の物語が展開します。本書は、彼の学生時代の奮闘やミステリ愛好会のメンバーとの交流を描いた、全5篇の短編を収録しています(
第1章: 最初でも最後でもない事件
この章では、神紅大学のコスプレ研究部で発生した窃盗事件に明智が挑みます。二人の泥棒が鉢合わせし、被害者も犯人も複雑に入り乱れる事件ですが、明智の鋭い洞察力が解決への鍵を握ります。事件解決までの推理は緻密で、読者を引き込みます。
第2章: とある日常の謎について
明智が商店街で起きたビル売却にまつわる奇妙な事件に関わる話です。喫茶店の主人との会話を通じて、彼が偶然手にした情報が、意外な謎解きにつながります。日常の中で起こる小さな出来事にも、明智の推理が冴え渡ります。
第3章: 泥酔肌着引き裂き事件
明智が泥酔した翌朝、身に覚えのない出来事が自室で発生します。ズボンは履いているのに肌着がなく、他に部屋にいたのは葉村だけ。この不可解な状況の中、明智が自身の推理で謎を解き明かしていく展開です。
第4章: 宗教学試験問題漏洩事件
期末試験の問題漏洩事件に挑む明智が、教授の飼い猫を探す過程で事件の真相に近づきます。試験問題を巡る不正が絡むこの事件では、明智の推理力が光り、読者を最後まで引き込む展開です。
全体を通して
『明智恭介の奔走』は、探偵に憧れる大学生の明智恭介が、日常の小さな謎から大学内での不正事件まで、様々な事案に挑む姿を描いた短編集です。今村昌弘の巧みなストーリーテリングが、明智のユーモアと知性を見事に際立たせています。明智の成長と人間ドラマが重なり、単なるミステリにとどまらない魅力を放っています。
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本の評価
4.5/5
レビュー
明智恭介のユーモラスなキャラクターがとても好きです。軽妙な語り口と鋭い推理が魅力的で、短編ごとに異なる謎を楽しめます。
今村昌弘ならではの緻密なプロット展開に引き込まれました。事件の背景に潜む人間関係も描かれており、読み応えがあります。
軽快なテンポで進む物語ながら、しっかりとしたミステリーが楽しめます。明智のキャラクターがどんどん好きになっていく一冊です。
明智の学生生活と推理の融合が楽しく、次々に謎を解き明かしていく展開が気持ちよかったです。全編通してワクワクしながら読み進めました。
コメディ要素もあり、笑いながらも事件解決にハラハラできる良作です。短編ごとの構成がテンポ良く、飽きずに楽しめます。